親子の暑逃ドライブ旅、始まりは娘のひとことから
最近、週末になると家の中にこもってばかりで、なんだか気分が上がらない。
そんなある日、娘がぽつりと「家にいるの嫌や。暑いけど、どこか出かけたいな」と言い出したんです。
「どこ行きたい?」と聞くと、すぐに返ってきたのは意外にも、「神社巡りしたい!」のひとこと。
毎日36度を超える猛暑。
でも、せっかく休日。
親子でのんびり車で行ける場所を探していたら、思いついたのが、甲賀市にある油日神社と田村神社でした。
油日神社は、ドラマ『信長協奏曲』や映画『侍タイムスリッパー』のロケ地として知られる、歴史ある神社。
昼前でしたが、さっそく親子でドライブへ。
参道では、すれ違うご夫婦と「こんにちは~」と自然に挨拶を交わす、そんな穏やかな時間が流れていて。
日常とは少し違う、静かでやさしい世界がそこに広がっていました。
映画の舞台にもなった神秘の地「油日神社」
ロケ地としても有名!油日神社ってどんなところ?
油日神社へ向かう道中。
そこにはまるで、ジブリ映画に迷い込んだかのような風景が広がっていました。
道の両脇には、風に揺れる緑の稲穂と、のどかな田園風景。
小さな山々が連なるその景色は、まさに「田舎のおばあちゃんち」のような懐かしさを感じさせます。
車の外はうだるような暑さのはずなのに、不思議と目に映る新緑は涼しさを運んでくれて、娘も窓の外を見ながら「猫バス来そう〜!」なんてうきうき気分に。
そんな癒しの道を抜けた先に、どっしりと佇む油日神社があります。
この神社は、ドラマ『信長協奏曲』や映画『侍タイムスリッパー』など、多くの作品の舞台としても知られている場所。
歴史ある境内と、まるで時を超えたような静けさが、訪れる人を包み込んでくれます。

鳥居越しに感じるエネルギーと、静けさに包まれる時間

鳥居の向こうには、真っ青な空。
その青が一層際立つのは、まわりがとても静かな田舎だからこそ。
静寂の中に立ち尽くすと、自然と背筋が伸びるようなエネルギーを感じました。
トイレは駐車場の横にあり、とても清潔で虫もおらず、夏場でも安心して使えます◎
ロケ地としても人気!歴史を感じる神社建築
油日神社は、ロケ地巡りとして訪れる人も多い場所です。
その中でも特に印象深かったのが、境内にある「護鎮」と書かれた場所。
ここは映画の中で、信長と帰蝶が追っ手から逃れてたどり着いた、あの重要なシーンの舞台。
どっしりとした門構えや茅葺き屋根の迫力に、思わず圧倒されます。

歴史が息づく本殿と、門の裏に隠された不思議な風景
境内の奥へと進むと、目の前に現れるのが油日神社の本殿。
どっしりとした茅葺き屋根と、年月を経た木の風合いが絶妙に調和し、まさに「神が鎮まる場所」としての風格が漂います。
この本殿は、室町時代の建築様式を今に残す貴重な文化財でもあり、その厳かな佇まいに、娘とふたりしばらく言葉を忘れて立ち尽くしてしまいました。
そしてもうひとつ、印象的だったのが、門の裏手に、ごま油やサラダ油の一斗缶がきれいに積み上げられていたこと。
その光景は、いかにも「油の火」の神様が祀られている神社ならでは。
金色の文字やレトロな缶のデザインに思わず見入ってしまい、「これは…奉納されたものなのかな?」と親子で話しながら、しばしその場を離れられませんでした。
神聖さと日常の祈りが重なるような、ちょっと不思議で心に残る風景。
大木の前で立ち止まる。自然の力に圧倒される瞬間
境内には、天まで届きそうなほど高くそびえる大きな木がありました。
その力強く真っ直ぐに伸びる姿に、思わず「人間って小さいなぁ」と、自然の偉大さを感じさせられます。
娘と二人、無言でしばらく見上げていた時間。
心が洗われるような感覚になりました。

御朱印と、宮司さんとのあたたかいひととき
参拝を終え、娘がおみくじを引こうと社務所の方へ近づいたときのこと。
中から「ガラッ」と窓が開いて、現れたのは若くて穏やかな雰囲気の宮司さんでした。
「こんにちは」とやさしい声で迎えてくださり、御朱印をお願いすると、なんと直書きで対応していただけました。
御朱印帳を手にした宮司さんがふと一言。
「良いところ回っておられますね〜。あ、竹生島神社いいですね~」
旅の記録が詰まった御朱印帳を通して、会話が自然に広がり、
「実は次もまた、映画のロケ地として映るんですよ〜」と、ちょっとした舞台裏の話まで聞かせていただけました。
ほんの短い時間だったけれど、旅の記憶に残る大切なやり取りに。
御朱印をいただくという行為が、神社との心の交流になるんだなあと感じた瞬間でした。

もうひとつの目的地「田村神社」へ
車で10分ほどの場所にある、もうひとつのパワースポット
油日神社から車で約10分ほど。

油日神社を後にし、車で田村神社へ。
のどかな田園風景の中、道の上にふわりと伸びる雲を見たとき、「龍神様が空を泳いでるみたい」と娘がぽつり。
そんな神秘的な気配を感じながら、神社へと近づいていきました。のどかな田園風景の中を少し走ると、もうひとつの目的地・田村神社に到着しました。
こちらは「厄除けの神様」として地元でも信仰されており、交通安全や病気平癒、家内安全のご利益があるとされる神社です。
平安時代の武将・坂上田村麻呂を祀っています。
油日神社の静けさとはまた違い、少し開けた雰囲気のある境内。
けれどそこにも、どこか古の武士を感じさせるような凛とした空気が流れていました。
万灯祭の準備でにぎわう境内

神社の入り口には、「万灯祭」の立て看板。
7月25日〜27日に行われるこの祭りの準備のため、境内のあちこちに赤い提灯や電気コードが張り巡らされていて、どこかワクワクする雰囲気が漂っていました。
赤い橋と涼やかな林道、まるで異世界への入り口
駐車場から入ってすぐ、小さな池にかかる赤い橋が目に飛び込んできます。
この場所、まるで一枚の絵のような美しさ。

橋を渡って少し進むと、背の高い木々が両脇にずらりと並ぶ林道へ。
真夏とは思えないほど涼しい風が吹き抜け、木漏れ日がきらきらと揺れる中を歩いていきます。
長く伸びるこの道の先に見えてきた鳥居は、とても神聖で厳かな雰囲気。
まるで心の中も静かに整えられていくようでした。
この林道は少し長くて奥に鳥居が見えました。
手水舎もとてもきれいでした。
福豆で厄落とし?川に豆を投げる不思議な風習
本殿の手前には、立派な手水舎。
龍の口から清らかな水が流れ落ち、木の柄杓も丁寧に整えられていて、細やかな手入れが感じられました。
さらに進むと、「福豆」と書かれた看板とその奥にかかる橋。
看板には、豆を年の数だけ川に投げると、厄が落とせるといった意味の言葉が。
「今年前厄やし、やってみようかな」
娘がそう言って、まずは本殿にお参りしてから社務所で福豆を買おう、と橋を渡っていきました。
川へと続く石段――娘の足取りが自然と軽くなる
「福豆」の看板を見かけた橋の少し奥、右手に川へと続く綺麗な石段を発見。
その向こうには、キラキラと陽を反射する野洲川の流れが見えていました。
娘は「川や!行ってみたい!」と嬉しそうに階段をトントンと軽やかに下りていきます。
しっかりと整備されたその石段は歩きやすかったです。

足元まで降り立つと、目の前には広大な河原とその向こうに広がる山並み。
水のせせらぎと、葉っぱが揺れる音しか聞こえない世界。
「水があるって、幸せやなぁ」
と、そんな気持ちになりました。
この自然の中でしか味わえない時間、親子で静かに分かち合えた気がします。

本殿と風鈴の小径。心が澄んでいくようなひととき
川から戻ってたどり着いた本殿は、どこまでも清々しく、細やかに手入れされた美しさに思わず見惚れてしまうほど。

娘に「何をお願いしたの?」と聞いてみたけれど、「それは内緒」と。
きっと娘なりの真剣な祈りがあったんだと思います。
本殿の横道を進むと、また橋が現れました。

その先には、風鈴が並んで吊るされた通りが。

ちょうどこの日は風が強めに吹いていて、風鈴の音が「リン、リン」と響くその空間は、まるで浄化されるような気持ちにさせてくれました。

御神体と再び出会い、娘と二人で願いを込めて

大きな御神体が静かに鎮座していました。
その前で立ち止まり、娘と一緒に手を合わせてお祈り。
「どうか、穏やかな日々が続きますように」
厄落としの福豆と、神社のやさしい時間
お参りを終え、いよいよ社務所で福豆を購入。
一緒に前厄の娘のために厄除けのお守りと御朱印もお願いしました。

「書いている間に、福豆を川へ流してきてくださいね」と案内され、橋の上から娘が一粒ずつ年の数だけ豆を川へ。
「これで厄、ちゃんと落ちたかな?」と笑い合う姿に、なんともあたたかい気持ちになりました。

ジブリのような子どもたちと、最後に流れる風鈴の音
社務所に戻ると、書き終えた御朱印帳がそっと置かれていて、その横から「鯉の餌くださいな!」「くださいなー!」と、子どもたちの元気な声。
娘と「今の、めっちゃかわいいなぁ〜ジブリみたいやね」と顔を見合わせて、ふたりで笑いました。
まるで映画のワンシーンのような、静かでやさしい時間がそこに流れていました。

「ナンバーワンの神社かも!」娘が大絶賛した理由
社務所の近くにあるトイレもとてもきれいで、広い駐車場にも驚き。
そして、神社全体がとても広く、中には川が流れ、木々に囲まれた場所はまるで“川床”のような涼しさ。
「ここ、すごく神秘的で、美しくて……ナンバーワンかも!」
と娘が目を輝かせながら言っていた言葉が、今回の旅のすべてを物語っていた気がします。
帰り道の車の中では「明日はどこ行く?」なんて会話が飛び出すほど、心も体も癒される、そんな素晴らしいドライブ旅になりました。
まとめ:心洗われる親子ドライブ旅の思い出
今回の親子ドライブ旅では、甲賀市にある油日神社と田村神社をめぐり、心がすっと軽くなるような癒しの時間を過ごすことができました。
油日神社では、荘厳な本殿と大きな御神木に圧倒され、人間のちっぽけさを感じるほどの自然の力に触れることができました。
門の裏に積み上げられていたごま油の奉納も印象的で、地域に根付いた信仰の深さを感じました。
田村神社では、万灯祭の準備中の活気ある境内を歩きながら、風鈴の音に耳を傾け、川のせせらぎに包まれ、まるで異世界に迷い込んだような神秘的な空間に心を奪われました。
娘は福豆を川に投げ入れたことで、気持ちがすっと整い、厄も一緒に流れていったような感覚になりました。
どちらの神社も手入れが行き届いており、清潔で気持ちよく過ごせる場所です。
トイレもとてもきれいで、女性やお子さま連れにも安心しておすすめできます。
そして何より、この旅のハイライトは娘のひとこと。
「ここ、今まででナンバーワンの神社かも!」
次はどこに行こうか?と、帰りの車の中で笑い合いながら、また一つ、親子の大切な思い出が増えた一日となりました。