ローカル線に揺られて、親子で神さまに会いに行く日
休日の朝、娘とふたりで小さな電車に乗った。
どこか遠くへ行きたいわけじゃないけれど、日常からほんの少し抜け出したくて
目的地は、滋賀のローカル線「近江鉄道」に揺られてめぐる、多賀大社と水口神社という、神さまのいる場所。
今回使ったのは、「近江鉄道1デイパス」。
スマートフォンで気軽に購入できて、金・土・日・祝日なら1日何度でも乗り降り自由という、ローカル線旅にはぴったりの切符だ。
沿線の施設では割引サービスも受けられるから、お参りとちょっとした観光を組み合わせれば、あっという間に元が取れてしまう。
実質、電車に無料で乗っているようなお得感もあって、なんだかいいことがはじまりそうな予感すらした。
娘とのんびり歩いて、電車に揺られて、ときどき立ち止まりながら、その土地の空気を感じる。
そんな時間の中で、心の中の小さなもやっとがすーっと静かになっていく気がした。
今回は、そんな親子ふたりののんびり神社めぐり散歩旅を綴ってみたいと思う。
「近江鉄道1デイパス」ってどんなきっぷ?
この旅で使ったのは、近江鉄道の「1デイスマイルチケット」。
名前のとおり、1日中ニコニコになるような、そんな便利でお得なきっぷだった。
しかも購入はとっても簡単です。
私はスマートフォンのアプリ(RYDE PASS)ら購入したのですが、家にいながら、指一本でパパッと手続きが完了。
紙の切符を受け取る必要もなく、乗車時にスマホの画面を駅員さんに見せるだけでOK。
金・土・日・祝日のみ限定販売だけど、
大人900円・子ども450円で、1日乗り放題。
多賀大社から水口神社まで、複数の駅を何度も乗り降りしてもこの金額は破格だと思う。(電車の本数があまりないので、乗り降りしまくることはできませんが・・・)
しかも、沿線の観光施設やカフェなどで割引が受けられる特典付き。
うまく活用すれば、数ヶ所まわっただけで元が取れてしまう。
ローカル線ってちょっと不便そう…って思う人もいるかもしれないけど、この1デイパスのおかげで、安心して気ままな旅ができた。
「ちょっと降りてみようか」とか、その場の気分でふらっと動けるのが、親子旅にはちょうどいい自由さだった。
のんびり電車旅の魅力とは?

近江鉄道の車両は、どこか昔懐かしい雰囲気をまとっている。
ゆっくりと走るそのスピードが、せかせかしたこの社会とは反対の世界に連れて行ってくれるかのようです。
ゴトン、ゴトン、と響くレールの音。
揺れる窓から見えるのは、田んぼや川。
都会の電車じゃ見ることのない、時間が止まったような風景が広がっていた。
娘とは電車のつり広告や、窓の外の風景を見て普段あまりしないたわいもない会話をした。
混み合うこともなく、座ってのんびり景色を楽しめるのもローカル線の魅力。
車内にはおしゃべりする女子高生や、自転車ごと乗ってくるおばあちゃんがいて、それぞれの旅が、静かに流れていた。
「非日常」とは、遠くに行くことじゃなくて、普段とは違うリズムに身をゆだねること。
そんなことを、ガタンゴトンの揺れの中で、ふと思った。
神様に会いに行く①:多賀大社で心をリセット

多賀大社とは?ご祭神とご利益
多賀大社は、「お多賀さん」の愛称で親しまれてきた、滋賀県を代表する歴史ある神社。
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)という、日本神話で国づくりをしたご夫婦の神さまが祀られている。
天照大神をはじめとする八百万の神々のご両親です。
ご利益は、延命長寿・縁結び・厄除け・家内安全など幅広く、昔から「お伊勢参りのあとにはお多賀参り」と言われるほど、全国から参拝者が訪れてきたそう。
どこか親しみがあって、初めて訪れても懐かしいような、そんな空気が流れていた。
アクセスと周辺の見どころ
近江鉄道「多賀大社前駅」を降りてすぐ、歩いて7分。
昔ながらの町の風景が広がる通りを歩いていく。
参道には老舗の和菓子屋さんや、土産物屋さんがあり、観光気分もほんのり味わえる。
中でも有名なのが、「糸切餅」。

今回は時間がなくて写真は撮れなかったけれど、もちもちした生地と甘すぎないこし餡のバランスが絶妙で、ひとくち食べたらホッとした気持ちになる味だった🍡
境内に入ると、神門や木の温もりを感じる拝殿が出迎えてくれて、どっしりとした木々と静けさに包まれる。
賑わいのある参道とは対照的に、境内はとても落ち着いていて、思わず深呼吸したくなるような空間だった。
御朱印やお守りも見どころ!
拝殿に手を合わせたあと、御朱印をいただきに社務所へ。
お守りも種類が豊富で、娘は迷いに迷って、可愛らしい桜色のお守りを選んでいた。
神社って、お願いごとをしに行く場所でもあるけれど、そこに行くことは自分の中の新たな決意を込めた気持ちになれる不思議な場所。
多賀大社は、まさにそんな「心の充電スポット」だった。
神様に会いに行く②:水口神社で静かな時間を
水口神社ってどんなところ?
旅の後半、私たちは近江鉄道「水口城南駅」で下車。
駅から歩いて5分ほど、水口公園を抜けると、木々に囲まれた立派な鳥居が見えてきた。
そこが「水口神社」。
かつて水口岡山城の鎮守社だった歴史ある神社で、現在も地域の人々に大切に守られている。
参道入口には石の 鼓橋(太鼓橋) があり、銅製の立派な鳥居と相まって、古き良き趣を感じる景観が魅力です
第一印象は、とにかく空気が静か。
鳥の声と、木々のざわめきだけが響いていて、まるで時間が止まったかのような、そんな不思議な感覚に包まれた。
写真で感じる境内の佇まい
境内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、重厚な大鳥居。
その奥に控える拝殿や本殿も、落ち着いた木造建築で、凛とした美しさがある。
石灯籠が並び、そして静かに立つ拝殿。
すべてがきちんと整えられていて、派手さはないけれど、とても清らかな空気を感じる神社だった。
言葉では表現できないけれど、この神社には、人の心を整えてくれる力があるような気がした。
敷地が広々としていて、近くの大きな国道や鉄道、住宅街などの喧騒から一瞬、別の世界に来たような感覚。
「穴場の癒しスポット」として、静かな時間を過ごしたい人にぴったりの場所だった。
神社の外の西友でも、旅の出会いは待っている
参拝を終えて、駅に戻ろうとしたとき、
次の近江鉄道の折り返し電車までかなり時間が空いていた。
せっかくだから、どこかで時間を潰せないかな?と歩いていると、神社から5分ほどのところに西友を発見。
何気なく入ってみると、1階には雑貨屋さんがあって、季節のお菓子やかわいい小物が並んでいた。
娘と「どれが美味しそうかな?」なんて言いながら眺めていた、そのとき
「〇〇さん!?〇〇ちゃん!?」
と、突然うしろから声がした。
びっくりして振り返ると、なんと娘の部活の先輩のお母さんが立っていた。
まさかこんなところで!?とお互い驚いた。
「どうしてこんな場所に?」と聞かれたので、「近江鉄道の1デイパス使って、娘とぶらぶらしてるんです」と伝えた。
すると、「えっ!?水口神社に来たの!?それはすごい!」とびっくりされた。
そして、「うちの娘もそういうの好きよ。近江鉄道に意味もなく乗ってぶらぶらしてる(笑)」
と、笑って話してくれた。
そんな会話に、なんだか心が温まった。
このまちでのんびり過ごす人たちの空気や、ローカル線に揺られてふらっと旅する自由さが、なんとも言えず心地よかった。
ただ神社を訪れるだけじゃない、こんな小さな偶然の出会いも、旅の醍醐味なのかもしれない。
1デイパス旅の感想とおすすめポイントまとめ
コスパ重視の人にもぴったり!
今回の旅で使った「近江鉄道1デイスマイルチケット」は、大人900円・子ども450円で、1日乗り放題という超お得なきっぷ。
普通に乗車するだけでも十分元が取れるのに、さらに沿線の施設やお店で割引が受けられることも。
今回はあまり施設には立ち寄らなかったけれど、多賀大社や水口神社のような観光地を巡れば、電車が無料みたいな気分になるくらい満足感があった。
スマホアプリから簡単に購入できるので、「どこか行きたいけど、遠出するのはちょっと…」というときにこそおすすめ。
「のんびりしたい日」にこそ乗ってほしいローカル線
この旅は、ただ目的地に行くだけの旅ではなかった。
ガタンゴトンと揺られる電車の時間、神社の静けさに耳をすます時間。
どれもが、今ここの感覚を取り戻す時間だった。
途中で出会った人との会話、娘と交わした何気ないやり取り、それらがすべて、この旅を良い思い出に変えてくれた。
近江鉄道には、「静かな時間」がある。
それがきっと、今の私たちにとっていちばん豊かな贅沢なんだと思う。
おわりに:ローカル線には、小さな幸せがつまっている
今回の旅は、大きな観光地をめぐったわけでも、豪華なグルメを楽しんだわけでもなかった。
けれど、電車に揺られ、神社で手を合わせ、偶然の出会いに驚き、子どもと笑いながら歩いた時間には、「小さな幸せ」がつまっていた。
近江鉄道のレトロな車両。
静かにたたずむ神社の境内。
糸切餅の甘さ。
知らない町で思いがけず出会った、知ってる顔。
そんな日常のすき間にそっと入り込むような旅こそ、心を満たしてくれるのかもしれない。
次はまた、違う路線で、違う風景を探しに行こう!
ローカル線の旅は、まだまだ続くよ。